高血圧

75歳未満の成人は診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満が目標

75歳以上の方は診察室血圧140/90mmHg未満、家庭血圧135/85mmHg未満が目標(持病によって目標値は異なります)

・高血圧と言われたら、まずは減塩など生活習慣の是正に努めましょう。

・1-3ヶ月程度の経過をみて、生活習慣の是正では血圧の改善がみられない場合には、少しずつお薬を始めましょう。

高血圧ってなに?

血圧は、様々な原因によって高くなります。高い血圧が長く続く状態を高血圧といい、通常すぐには自覚症状がない場合が多いですが、長期間血圧が高い状態が続くと、血管や内臓に負担がかかり、結果として脳や心臓、腎臓など様々な臓器に障害をもたらします。

日本には高血圧の方は約4300万人いると推定されています。その中で適切に血圧がコントロールされているのは1200万人あまりです。残り3100万人の方は自分が高血圧であるか知らない、知っていながらも治療がなされていない、治療をしていても目標に達していない方々です。結果として、1年間に約10万人の方が高血圧に起因する脳心血管系で亡くなっていると推定されています。

高血圧の原因は?

血圧には普段の食生活、喫煙、飲酒、肥満、運動習慣の有無、加齢、ストレス、睡眠、気温、遺伝など様々な要素が影響しています。

特に大きな影響を与える要因のひとつとして、食塩の過剰摂取が考えられます。食塩摂取量が多くなると血圧が高くなり、減らすことで血圧が低下することは多くの研究で証明されています。高血圧の方の塩分目標値は1日6g未満とされています。

また飲酒習慣も血圧上昇の原因となり、連日の飲酒は高血圧に加えて脳卒中やアルコール性心筋症、心房細動、夜間睡眠時無呼吸などを引き起こすだけでなく、癌の原因にもなり死亡率を高めます。

ほかにも腎臓や副腎など、心臓以外の臓器が原因で高血圧となる場合や、睡眠時無呼吸症候群、高度肥満、普段の飲み薬(痛み止め、漢方、経口避妊薬など)が原因で高血圧となる場合があります。当院ではこれら二次性の高血圧についても相談の上、検査をしています。


自分で血圧を測るには?

家庭血圧測定には上腕カフ血圧計(二の腕を巻くタイプ)が推奨されています。手首で測るタイプも、帯を巻く高さを心臓と同じくらいの位置にするように注意するなど、適切に使用していただけば差し障りありません。原則2回測定しその平均値を血圧値として用いるのが一般的です。

血圧の目標値は?

一般的に75歳未満の成人は診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満を目標にします。75歳以上の方は診察室血圧140/90mmHg未満、家庭血圧135/85mmHg未満が目標です。糖尿病や狭心症、脳梗塞、腎障害(尿蛋白陽性)、抗血栓薬(血をサラサラにする薬)などを内服されている方は75歳未満の方と同様に診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満を目標にします。もともとの持病やこれまでの治療経過によっては、必ずしも目標値がすべてではありませんが、高血圧を放置しておくことは思わぬ合併症を引き起こすリスクがあります。


高血圧と言われたら?

まずは本当に高血圧があるのかどうか、一時的な緊張などで高かっただけの可能性もありますので、できれば家庭血圧の測定をお勧めしています。また実際に家庭血圧が高かったからといって、すぐにお薬を飲み始めるわけではありません。まずは減塩など生活習慣の是正によって、血圧が正常域まで下がってくる可能性があるからです。1-3ヶ月程度の経過をみて、生活習慣の是正では血圧の改善がみられない場合には、少しずつお薬を試していくことになります(頭痛など高血圧による症状が強い場合や緊急性のある高血圧はこの限りではありません)。

また比較的若い方の高血圧や、睡眠時無呼吸症候群など、ほかの疾患が隠れている場合は、その疾患が原因で高血圧になっていることがありますので、血液検査や睡眠時無呼吸の検査などをお勧めしています。また既に高血圧を指摘されている方でも、これら検査の希望がございましたらご相談ください。


治療を始めたらどうなるの?

減塩や生活習慣の見直しでも高血圧の改善がみられない場合、少しずつお薬を始めていきます。血圧はいろいろな影響を受けます。特に夏場では脱水や高気温による血管の弛緩などにより普段の血圧より低く、冬場では寒冷により血管の収縮などが起こり普段の血圧より高くなりやすい傾向があります。最初は血圧が高くてお薬を始めても、夏場は血圧が安定している方や、その後の生活習慣の見直しや減量などによってお薬を減らせる方もいます。

当院ではお薬を始めるにあたって、自覚症状や診察室/家庭血圧を参考にお薬の調整をしていきます。また血液検査をすることでお薬の副作用がでていないかなどを定期的にチェックしています。まずはお気軽にご相談ください。

参照:高血圧治療ガイドライン(JSH2019)