脂質異常症/高脂血症

LDLコレステロール値(悪玉)が140mg/dL以上、HDLコレステロール値(善玉)が40mg/dL未満、トリグリセライド値(中性脂肪)が150mg/dL以上のどれか1つでも満たす場合は脂質異常症を疑います。

動脈硬化の程度がどの程度か、また高血圧や糖尿病があるかどうか、脳梗塞や狭心症、腎臓病などの既往があるかどうか、喫煙の有無や家族歴(遺伝性)の有無などを踏まえて、お薬の必要性を考えましょう。

これらの既往がある場合は、より厳格なコレステロール管理が必要で、例えばLDLコレステロール値が140mg/dl未満であってもお薬を始めた方が良い場合があります。

お薬が体質に合わないために筋肉痛や関節痛、全身倦怠感などが出現してしまう方がおられます。当院ではお薬が合わないことによる筋肉や肝臓などへの副作用がないかどうか、定期的な血液検査(内服を開始して12週までは月に1回程度、その後は3ヶ月から半年に1回程度)をお勧めしています。

脂質異常症ってなに?


脂質異常症とは、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪(トリグリセライド)が必要以上に増えるか、またはHDLコレステロール(善玉コレステロール)が減った状態のことです。

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は血管内に入り込み、動脈硬化の原因になります(血管が徐々に狭くなり、弾力が失われ硬くなってしまいます)。逆にHDLコレステロール(善玉コレステロール)は脂質が蓄積した血管からコレステロールを引き抜くことができます。

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪が高いとどうなるの?

細胞は、必要以上のコレステロールを取り込まないので、余分なコレステロールは血液中を循環したままになります。様々な原因により、LDLコレステロールが増えてくると、LDLが血管に沈着し、酸化変性されて動脈硬化を引き起こします。脳に必要な酸素や栄養を与える血管が狭くなって詰まってしまうと脳梗塞を、心臓に酸素や栄養を与える血管が狭くなってしまうと狭心症、詰まってしまうと心筋梗塞を発症してしまいます。

これまでの数多くの研究から、LDLコレステロール値が高いと、動脈硬化を起こし、これらの脳心臓血管系の疾患を発症しやすくなることが証明されています。また動脈硬化を進行させるのは、血管壁に入り込んでくるコレステロール成分が原因であって、中性脂肪(トリグリセライド)が直接血管壁に蓄積するわけではありません。しかし、LDLコレステロールとともに中性脂肪も血管を障害することがわかっています。

脂質異常症と言われたら?

日本動脈硬化学会では、LDLコレステロール値が140mg/dL以上である場合、HDLコレステロール値が40mg/dL未満である場合、トリグリセライド値が150mg/dL以上ある場合に脂質異常症を疑うこととしています。

ただ、これらの基準を超えたからといって、すぐにお薬を使うわけではありません。動脈硬化の程度がどの程度か、また高血圧や糖尿病があるかどうか、脳梗塞や狭心症、腎臓病などの既往があるかどうか、喫煙の有無、家族歴(遺伝性)の有無など様々な状況を踏まえて、お薬の必要性を検討します。逆にこれらの既往がある場合は、より厳格なコレステロール管理が望ましいとされており、例えばLDLコレステロール値が140mg/dl未満であってもお薬をお勧めする場合があります。

治療を始めたらどうなるの?副作用が心配だけど?

LDLコレステロールについては、現在使用されているお薬は大変効果が高く、飲み続けることで、ほとんどの方で数値の改善が期待できます。

しかしながら、お薬が体質に合わないために筋肉痛や関節痛、全身倦怠感などが出現してしまう方もおられます。当院ではお薬が合わないことによる筋肉や肝臓などへの副作用がないかどうか、定期的な血液検査(内服を開始して12週までは月に1回程度、その後は3ヶ月から半年に1回程度)をお勧めしています。また飲酒習慣のある方や腎障害のある方は副作用が表れやすいとも言われており、より注意が必要です。

副作用の程度が軽ければ2日に1回の内服に切り替えることで、問題なく治療が継続できる方もおられますが、どうしてもお薬が飲めない方には別のお薬や治療法を相談いたします。副作用は心配ですが異常値を放置しておくことは、それ以上に恐ろしい合併症を引き起こすリスクがあります。まずはお気軽にご相談ください。

参照:日本動脈硬化学会ガイドライン2022