糖尿病

・糖尿病と言われたら、野菜などバランスの良い食事を意識すること、食べ過ぎに注意し、甘いもの、ショ糖を含んだジュースなどを控えること、果物を摂りすぎないこと、食物繊維の多いものを摂ること(20g/日以上が推奨されています)、アルコールを控えること(上限目安として25g/日程度)などが日常生活で気をつけるポイントになります。

・重篤な糖尿病が続くと自覚症状がないまま合併症が進展し、網膜症により失明してしまったり、腎障害のため透析が必要になったり、脳に必要な酸素や栄養を与える血管が狭くなって詰まってしまうと脳梗塞を、心臓に酸素や栄養を与える血管が狭くなってしまうと狭心症、詰まってしまうと心筋梗塞を発症してしまいます。また足への血流が低下して酸素や栄養が届かなくなると、足の組織が壊死や感染を引き起こし、下肢の切断が必要になる場合があります。

十分な食事療法、運動療法を2~3ヶ月行っても改善が得られない場合、少しずつお薬を始めていきます。

糖尿病ってなに?

糖尿病はインスリンという血糖を一定の範囲に抑えるホルモンの不足や反応性の低下が原因で血糖値の上昇が慢性的に続く状態をいいます。

1型糖尿病と2型糖尿病があり、1型はインスリン依存型とも呼ばれ、自己免疫疾患などが原因でインスリン分泌細胞が破壊されるもので、インスリンの自己注射が必要です。2型糖尿病はインスリン非依存型と呼ばれ、遺伝的な要因に過食や運動不足などの生活習慣、肥満などの環境要因が加わって発症します。その他に特定の疾患、機序によるものや妊娠糖尿病があります。

糖尿病の多くは2型糖尿病であり、日本ではその疑いがある人は成人の6人に1人、約1870万人にのぼっています。


血糖が高いとどうなるの?

糖尿病の恐さは、自覚症状のないままに重篤な合併症へと進展することで、小さな血管が傷付いていくことで徐々に内臓が障害され、年月を経て目(網膜)や腎臓、神経が障害されるほか、脳や心臓などのより大きな血管の動脈硬化が進行します(血管が徐々に狭くなり、弾力が失われ硬くなってしまいます)。

進行すると網膜症により失明してしまったり、腎障害のため透析が必要になったり、脳に必要な酸素や栄養を与える血管が狭くなって詰まってしまうと脳梗塞を、心臓に酸素や栄養を与える血管が狭くなってしまうと狭心症、詰まってしまうと心筋梗塞を発症してしまいます。また足への血流が低下して酸素や栄養が届かなくなると、足の組織が壊死や感染を引き起こし、下肢の切断が必要になる場合があります。これらは極端な例ですが、現実に起こりうることです。糖尿病を放置しておくことは、命に直結する合併症を引き起こすリスクがあります。まずはご相談ください。

糖尿病と言われたら?

2型糖尿病の基本は食事療法と運動療法です。肥満が関与していることが多く、目標とする体重は65歳未満では身長(m)×身長(m)×22が、65歳以上では身長(m)×身長(m)×22~25がそれぞれの目安となります。目標体重には一定の幅があり、特に75歳以上の方では栄養状態や普段の活動性の程度、身長の短縮の有無、もともとの既往などによって目標体重は異なります。

この目標体重に日常的な通勤・家事・軽い運動などをされている方は30~35を掛け算した数値が1日の総エネルギー摂取の目安です。日常的に力仕事や活発な運動をされているのであれば35(場合によってはそれ以上)を、逆に日常的に家にいることが多く、あまり動かないという方は25~30を目標体重に掛け算します。

例えば身長160cmの方であれば1.6m×1.6m×22=56.32kgが目標体重で、日常的な生活をされているのであれば56.32×30~35=1689.6~1971.2kcalが総エネルギー摂取量の目安となります。ちなみにコンビニのおにぎりは1個あたり200kcal前後です。

上記を目安として、野菜などバランスの良い食事を意識すること、食べ過ぎに注意し、甘いもの、ショ糖を含んだジュースなどを控えること、果物を摂りすぎないこと、食物繊維の多いものを摂ること(20g/日以上が推奨されています)、アルコールを控えること(上限目安として25g/日程度)などが日常生活で気をつけるポイントになります。


治療を始めたらどうなるの?

十分な食事療法、運動療法を2~3ヶ月行っても改善が得られない場合、少しずつお薬を始めていきます(著明な高血糖など緊急性のある場合を除きます)。いろいろな種類のお薬がありますが、特性や副作用を考慮しながら、個々人の病態に応じて単剤をなるべく少量から開始しています。なかなか改善がみられない場合は必要に応じてお薬の増量をしたり、作用機序の異なるお薬を追加したり、場合によってはインスリン治療の併用や切り替えをお勧めする場合があります。定期的な尿検査、血液検査をしながら、その方の体質や生活習慣に合ったお薬を一緒に考えます。まずはお気軽にご相談ください。

参照:糖尿病診療ガイドライン2019, 糖尿病治療ガイド2021