7. 禁煙について

禁煙について

敬愛する、英国Oxford大学のRichard Doll先生は、1954年の論文で、肺癌の発症と喫煙との関係を疫学調査等から突き止め、発表しました。その後、一生を禁煙のための研究、実践に携われました。2004年には、医師を対象にした50年間の調査で喫煙者は70才での生存率が58%、非喫煙者では81%、つまり寿命が10年の差があることを明らかにしました。もちろん生活の質の差という点でも明らかですが。

私は、日常診療において、禁煙外来という形で、禁煙をされる方をサポートしています。

国際肺癌学会「禁煙」東京宣言 IASLC 2000 Tokyo Declaration on Tobacco

肺癌は世界で癌死の最も高いものである。男女共にその発癌発病率の急増は警鐘を鳴らす状況にある。肺癌の9割は喫煙及び受動喫煙によるものであり、そのため予防可能なものといえる。喫煙はその他の多くの癌、循環器系疾患及び慢性肺疾患の主な原因ともなる。子供の喫煙によるニコチン中毒は世界的な流行病であり、速やかな対応を必要とする。

禁煙は肺癌発生の抑止と、高騰する医療費の抑制を計る最良の方法であり、ひいては世界人類の公衆衛生の向上と豊かな生活を成就することができる。

これらの目的を達成するために国際肺癌学会(IASLC)は下記の事項を宣言する。

1. 政府に対し、

1)子供の喫煙によるニコチン中毒を防止するための新しい方法の開発

2)分煙などによる非喫煙者の保護のための公共施設・交通機関内での禁煙

3)政府広報・公共広告を通して、喫煙の害・禁煙の啓蒙

4)禁煙を目的としたタバコ税の増額

5)喫煙者に関わる医療費の一部自己負担制の新設

6)初等中等教育での禁煙教育を行うための法令整備、行政指導、予算措置

を要望する。

2. 医学会や医療機関に対し、禁煙運動と禁煙教育への協力支援を依頼する。

3. 医療関係者に対し、禁煙のためのカウンセリング技術の習得を要請する。

4. 産業界・メディアに対し、タバコの広告宣伝及びセールス活動を廃止するように要請する。

5. 国際肺癌学会は、肺癌に関する資料を公共のために提供する。

この宣言は2000年9月14日に発効する。